2021年から2022年頃のお話です。
年が明けて少し経った頃、
春が近づき始めた時期に、
大雪が降ったことがありました。
確か、
3月近くだったと思います。
雪が降った翌日の早朝、
私は公園の方へ行きました。
すると、
公園の入り口のところに、
ハシボソガラスさんたちが、
六羽ほど固まっていたのです。
私は驚きました。
ひなちゃんも、
弟さんも、
そしてピンクちゃんやオレンジ君も、
とっくに親離れをしていた頃でした。
なのに、
こうして集まっていたのです。
その姿を見て私は、
「ああ、
何か大きな異変が起きると、
ギャーさんは、
元家族たちをこうして集めるんだ。」
と思いました。
本当に驚きました。
でも同時に、
とても安心したのです。

私は、
カラスについての本もたくさん読みました。
でも、
こういう話は、
まだ読んだことがありませんでした。
どこかには書いてあったのかもしれません。
でも私は、
この時初めて、
実際にその姿を見たのです。
「ギャーさんって、
すごいんだなぁ。」
「ひなママって、
本当にすごいんだなぁ。」
そう思いました。

思い返してみると、
突然土砂降りの雨が降り始めた時なども、
ギャーさんのしゃがれ声が、
辺りに響き渡っていました。
「みんな、
雨が降ってきたぞ!」
「安全なところへ移動しなさい!」
そんなふうに、
大警報を出しているようでした。
私は以前、
親離れをして、
子どもたちを追い出していったギャーさんを見て、
「自然の世界だから、
仕方がないことなんだ。」
と思っていました。
でも、
この大雪の朝、
家族を集めている姿を見て、
改めて感じたのです。
ギャーさんは、
本当に大切なことを、
ちゃんと見抜いている鳥なのだと。
以前、
キジバトさんたちが激しく喧嘩をしていた時も、
ギャーさんは、
さっと間に入り、
体でぶつかるようにして、
争いを止めていました。
そして、
何事もなかったように、
その場を離れて行ったのです。
私は本当に驚きました。
人間でも、
こんなふうに、
素早く、
的確に、
自然にその場を整えられる人を、
見たことがないと思いました。
思わず、
「ギャーさん、
人間社会にいたら、
きっと出世しただろうな。」
そんなことまで思ったのです。
そして私は、
ギャーさんの中に、
「生きているものへの愛情」
を深く感じました。
動物とか、
種類とか、
そういうことを超えた、
大きな愛情です。
まさか鳥さんに、
こんな愛情があるなんて、
信じない人もいるかもしれません。
でも、
愛情がなければ、
あの大雪の朝、
こうして家族を集めることは、
しないと思うのです。
もちろんその後、
しばらくすると、
ギャーさんとひなママは、
またいつものように、
仲の良い二羽で過ごしていました。
ただこの頃は、
何度繁殖に挑戦しても、
うまくいかなかった二年間でした。
巣を作っても、
場所が見つかってしまい、
壊される。
また作る。
また壊される。
そんなことの繰り返しでした。
ひなちゃんの年、
弟さんの年、
そしてピンクちゃんとオレンジ君の年。
三年続けて、
立派に子育てを成功させていたギャーさん一家。
だからこそ、
他のカラスさんたちにも、
巣の場所が知られてしまったのでしょう。
私は、
ギャーさんとひなママを見ながら、
「どんなに辛いだろう。」
と思っていました。
人間でも、
頑張っても、
どうしてもうまくいかない時があります。
きっと、
動物たちの世界にも、
そういう時があるのですね。
今でも時々、
あの大雪の翌朝を思い出します。
家族を思う心は、
きっとどんな世界にもあるのだと思います。
私はその姿を実際に見ることができました。
それは、生きているものたちの素晴らしさに、
深く触れた朝だったのです。