先日、午前中に道路の資源回収を出した帰りのことです。
門から裏庭へ続く階段や、お花の上に、たくさんのキジバトさんの羽が散乱していました。
大きな灰色の羽。
そして、白くてふわふわした小さな羽。
少し触れただけで、空気にふわっと舞い上がってしまうほど軽い羽もありました。
あまりにもたくさん落ちていたので、何かあったことは間違いありません。
胸がどきっとしました。
でも、よく見ると血痕などはどこにもありません。
落ちていたのは、美しい羽ばかりでした。
私は写真を撮り、羽を丁寧に拾って、チョコちゃんがお世話になっている動物病院へ向かいました。
その病院では院長先生が犬と猫をご担当され、奥様が鳥の診療をご担当されています。
ちょうどチョコちゃんのドッグフードを買う予定があり、お電話でご相談してから伺いました。
先生は羽をご覧になると、
「キジバトですね。」
とおっしゃいました。
そして私が、
「血液などは何も付いていなかったんです。」
とお話しすると、先生はにっこり笑って、
「逃げ切れたんですね。」
とおっしゃいました。
鳥は外敵に襲われた時、自分の羽を大量に抜け落ちさせ、その羽が舞っている間に逃げることがあるそうです。
「きっと今ごろ安心して元気にしていますよ。」
その言葉を聞いた瞬間、本当にほっとしました。
以前にも似たようなことがあり、その時は胸が苦しくなる思いをしました。
でも今回、その時のことまで安心に変えていただいたような気がしました。
普段から我が家の裏庭で、ズプリームなどを美味しそうに食べている子たちです。
十分に体力があったからこそ、無事に逃げ切れたのかもしれない。
そんなことまで思えて、とても嬉しくなりました。
実は、この鳥の先生とのご縁はずいぶん前から続いています。
丸の内に勤めていた頃、お昼休みにオフィスの中庭へ来るドバトさんの中に、羽が抜け落ちてボロボロになっている子がいました。
私は病気ではないかと心配になり、写真を撮って先生にご相談しました。
「捕獲して治療させてあげたいのですが、捕まえることが難しいので、もし捕獲できる方をご存じでしたら紹介していただけませんか。」
そうお願いすると、
「わかりました。」
とおっしゃり、業者さんをご紹介くださることになりました。
ところが、その前に写真をご覧になった先生は笑顔で、
「これは羽の生え替わりですよ。病気ではありません。」
と教えてくださいました。
私は本当に安心しました。
診察料をお支払いしようとすると、
「とんでもありません。
野鳥をこんなに見守ってくださって、こちらの方がお礼を申し上げたいくらいです。」
そうおっしゃって、先生は深々と頭を下げてくださいました。
その時のことは、今でも忘れられません。
その後には、家の前で亡くなっていたキジバトさんを先生に診ていただいたこともありました。
まだ体は温かかったので助かるかもしれないと思ったのですが、
先生は一目ご覧になって、
「この子は首を痛めています。」
と静かに教えてくださいました。
私はその子を自宅へ連れて帰り、東側の庭へ丁寧に埋葬しました。
今ではその場所にはツワブキが咲き、百合も咲きます。
小さな鳥のモニュメントを置き、今でも命日には必ずご挨拶をしています。
その年のクリスマスには、感謝の気持ちを込めて先生へ小さなチョコレートをお届けしました。
先生は笑顔で受け取ってくださいました。
そして先日、「クリーンセンターの見張り役」の記事を書いたあと、チョコちゃんのフードを買いに行った時、偶然先生がいらっしゃいました。
「ブログを書いたので見てください。」
そうお願いすると、その場で読んでくださいました。
その後、今回の羽のお話をすると、
「そうですね。キジバト同士で勢いよくぶつかることもありますからね。」
と笑いながら教えてくださいました。
また別の日には、裏庭で撮影したキジバトさんの写真も見ていただきました。
先生は、
「ずいぶん近くで撮っていますね。」
と驚かれました。
私は、
「近くまで行ってもあまり逃げないんです。」
とお話しすると、
「ご飯をあげていますか?」
と聞かれました。
「はい。最近はズプリームが大好きなんです。」
そうお話しすると、
「私のところでも保護したハトにズプリームをあげたら、とてもよく食べて元気になりましたよ。」
と教えてくださいました。
私が、
「本当は餌をあげることについてはいろいろな考え方がありますよね。」
と言うと、
先生は笑顔で、
「私の母もあげていますよ。」
とおっしゃいました。
もちろん、周りに迷惑を掛けないことは大切です。
私の家へ来る子たちは家を汚すこともなく、ご近所に迷惑を掛けることもありません。
それでも、鳥への接し方にはいろいろな考え方があることも理解しています。
この日は、羽を見つけた瞬間は胸が震えるほど驚きました。
でも最後には、
「逃げ切れましたよ。」
という先生の一言で、心から安心することができました。
こうして長年、野鳥を温かく見守ってくださる先生とのご縁にも、改めて感謝した一日でした。
I’m truly grateful.