昨日は、一日中、大雨でした。
土砂災害の警戒レベル4。
大雨警報、そして強風注意報。
鎌倉市の防災放送が何度も聞こえてきました。
自分の部屋の窓ガラス越しに、ゴーゴーと降り続ける雨の音を聞いていると、まるで大きな海の上に浮かぶ、ノアの方舟の中にいるような気持ちになりました。
こんなに長く、こんなに激しく降り続く雨は、初めてだったような気がします。
警戒レベル4を知らせる市内放送が流れた時には、私も部屋の中で、
「こんな時、私は何をしたらいいのだろう」
と考えていました。
けれど、どれほど大雨でも、いつもの暮らしが全部なくなるわけではありません。
鳥さんたちは、お腹が空きます。
大雨だから、きっとどこか安全なところにいて、蓄えてあるものでも食べているのではないか。
そんなふうに考えたくなるのですが、昨日は違いました。
午前中にも、お昼ごろにも、雨の中をリボンちゃんたちはやってきました。
「あ、来てる」
そう思ってお食事を出すと、みんなすぐにやってきて食べ始めます。
あれほどの雨の中でも、ちゃんといつもの時間を覚えているのですね。
私も、雨の様子を見ながら何度かお食事を出しました。
ところが、午後4時を過ぎてから少し多めに出したものには、もう誰も来ませんでした。
また一つ、教えていただきました。
大雨の日にも、鳥さんたちには鳥さんたちの時間がある。
自然が大きく変化している日でも、普段の暮らしの基本が全部なくなるわけではない。
自分の生活の基礎を守りながら、変化に合わせて少しずつ動かしていく。
そんなことを、昨日一日で教えていただいたような気がします。
そして今朝。
外へ出てみると、太陽様がいらっしゃいました。
昨日までの景色とはまるで違います。

なんだか本当に、ノアの方舟から外へ出てきたような気持ちでした。
そして、
「もう大丈夫ですよ」
と知らせに来てくれたかのように、電線にはリボンちゃんたちが3羽、並んでいました。

そうすると、15
ブト君も元気にやってきました。
いつもの朝が、ゆっくりと始まっています。
昨日の大雨を物語るように、金木犀さんの根元には、落ちたオレンジ色のお花がいっぱい。

表庭へ行ってみると、昨日の夕方にはあふれそうだった水たまりも、すっかりなくなっていました。
草さんも、お花さんも、朝日の中で輝いています。
そして、けやきさんのそばを見ると――。
「あら、ここにいたの?」
なんと、草さんたちの中から、ユリさんの大きな蕾がすっと顔を出していました。

あと一週間くらいでしょうか。
また咲いてくださるのかもしれません。
昨日はあれほどの大雨だったのに。
鳥さんも、草さんも、お花さんも、そして私たち人間も。
みんな自然の中で生きている、同じ命なのだなあと、改めて思いました。
最近、庭の草花をじっと見ていると、ときどきおしゃべりしているように感じることがあります。
「あなたの葉っぱ、ちょっとこっちに来すぎよ。私にお日様が当たらないじゃない」
「あら、それくらいいいでしょう。お互いさまよ」
そんな声が聞こえてくるようで、思わず笑ってしまいます。
そこへ私が入っていきます。
伸びすぎたつるさんを少しだけよけたり、草さんを抜いたり。
「ごめんね。ここは少しだけ空けさせてね」
すると草さんは、
「じゃあ、私はここまで。バイバイ。楽しかったよ」
なんて言っているのかもしれません。
一方、つるさんはなかなかへこたれません。
少し整理しても、しばらくすると、
「また来ましたよ」
と言わんばかりに、元気に伸びてきます。
庭の中にも、それぞれの命のせめぎ合いがあって、それぞれが自分の場所で一生懸命に生きている。
そして昨日の大雨では、草さんたちも、
「たくさんお水をいただいたよ」
と喜んでいたのでしょうか。
地面へ落ちた大量の雨を、土や草木が受け止めているのを見ていると、
「私たちも、ちゃんとここで役に立っているのよ」
と話しているような気もしてきます。
そういえば、少し前にこんなこともありました。
鳥さんのお食事のズプリームが器に残っていたので、夜、回収しに行きました。
器を見ると、なんと中にゴキブリさんがいました。
ご馳走の真ん中です。
どうしよう。
でも、私は駆除するつもりはありません。
ちょっとだけ器を動かして、
「出ていただけますか」
という気持ちで待っていると、やがてゴキブリさんが外へ出てきました。
その歩き方がおかしかったのです。
慌てて逃げるのかと思ったら、なんだか大股で、ゆっくり、堂々と歩いていきます。
「はいはい。それでは私はこれで失礼しますよ」
とでも言っているようでした。
思わず吹き出してしまいました。
ゴキブリさんだって、人間が怖いのかもしれません。
人間を見ると、ものすごい速さで逃げたり、じっと動かなくなったり。
でもあの夜は、こちらに追いかける気がないと分かったのでしょうか。
背筋を伸ばしているような姿で、悠々と去っていきました。
そのあと私は無事に器を洗って、片づけることができました。
昨日の大雨では、鎌倉の街でも冠水したところがあったと聞きました。
私たちの住むところは、もともとの山を造成してできた住宅地です。
もし昔のままの山だったなら、木々や土が、もっとたくさんの雨を受け止めてくれていたのかもしれません。
けれど、人が山を造成し、道路をつくり、家を建て、そこに暮らしています。
昨日、道路を勢いよく流れていく大量の雨水を見ながら、自然と人間との関係についても考えました。
私たちは自然とは別のところに暮らしているのではない。
鳥さんも、草花さんも、木々も、虫さんも、そして私たち人間も。
みんな同じ雨の中にいて、同じ太陽様の光をいただいて、生きています。
昨日は、ノアの方舟の中にいるような一日でした。
そして今朝。
太陽様が出てきてくださり、鳥さんたちが戻り、草花さんが朝日に輝いていました。

昨日を越えて、またいつもの一日が始まりました。
でも、昨日までとまったく同じ「いつもの一日」ではないような気がします。
大きな自然の中で、私も暮らしている。
たくさんの命と一緒に、今日も生きている。
そんなことを、改めて感じた朝でした。
今日も、たくさんの命とともに迎えられた朝に、ありがとうございます。
I’m truly grateful.