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ソウルの午後、そして守られていた帰り道

サンウさんを応援していた頃、私は何度も韓国を訪れました。

よく利用していたのは、『天国の階段』の舞台にもなった、大きな遊園地のある有名なホテルです。

ソウル市内からは少し離れた場所にありましたが、そのホテルにはソウルまでのシャトルバスが運行されていました。

朝、そのバスに乗って市内へ向かい、ソウルの街を歩き、夕方になるとまたホテルへ戻る。

その繰り返しが、私にとってはとても安心できる旅のスタイルでした。

市内を歩いていても、

「このバスに乗れば、あのホテルへ帰れる」

そう思うだけで心強かったのです。

夜遅くなってバスの運行が終わってしまった時には、タクシーで帰ることもありました。

韓国のタクシーは本当に速くて驚きました。

高速道路を走り抜けながら、窓の外には漢江の夜景が広がっています。

韓国ドラマで何度も見た風景。

「ああ、この辺りを主人公たちが歩いていたんだな」

そう思いながら眺める景色は、少し怖いほどのスピード感と重なって、とても印象的でした。

ホテルへ戻ると、何度も利用していたせいか、フロントの方が顔を覚えてくださっていました。

「お帰りなさい」

そう声をかけていただくたびに、異国にいながらも不思議な安心感を覚えたものです。

その頃には、韓国語も少しずつ読めるようになっていました。

ホテルのビジネスセンターにあるパソコンを借りて、韓国の公式ファンクラブへ書き込みをしたこともあります。

やがて客室でもインターネットが使えるようになり、自分のパソコンを持参して、部屋から投稿できるようになりました。

今思えば、本当に夢中でした。

その後、サンウさんはソウル市内にカフェをオープンされました。

私はどうしてもその近くに泊まりたくて、歩いて行けるホテルを探しました。

豪華なホテルではありません。

けれど評判が良く、治安も良さそうでした。

実際に泊まってみると、とても気楽で居心地の良いホテルでした。

カフェまでは歩いて数分。

閉店時間ぎりぎりまで店内で過ごしたこともあります。

「もしかしたら今日、サンウさんが来るかもしれない」

そんな期待を胸に。

残念ながら、その日は前日にいらしていたそうで、お会いすることはできませんでした。

夜になると店長さんが、

「皆さん、今日は終了です」

と声をかけます。

名残惜しそうにお店を出るファンの皆さん。

私もその一人でした。

それでもホテルはすぐ近く。

一人旅でしたが、不思議と不安はありませんでした。

翌朝も早くからカフェへ向かいました。

また、サンウさんが手掛けていた化粧品ブランドのお店にも足を運びました。

その二階もカフェになっていて、コーヒーを飲みながら窓の外を眺めました。

日曜日のソウル。

街は若い人たちであふれています。

買い物を楽しむ人。

肩を寄せ合って歩くカップル。

観光を楽しむ日本人のグループ。

みんな本当に幸せそうでした。

私は一人でコーヒーを飲みながら、その光景を眺めていました。

そしてふと思ったのです。

「私は本当にここまで来たんだな」

と。

日本を出て、飛行機に乗って、韓国へ来て。

今こうしてサンウさんのお店で、日曜日の午後を過ごしている。

それだけで十分幸せだと思いました。

その時の旅は、珍しく一泊二日の弾丸日程でした。

土曜日の朝に出発し、日曜日の最終便で帰国する予定です。

正直、とても不安でした。

帰りが遅すぎるのではないか。

ちゃんと家まで帰れるのだろうか。

何度も地図を見て、乗り換えを調べ、綿密に計画を立てました。

ところが、不思議なくらい全てがうまくいったのです。

帰りの飛行機では、偶然にもイ・ビョンホンさんの大ファンというお二人と隣の席になりました。

飛行機の中では韓国俳優の話で大盛り上がりでした。

「そんなに近くで会えるんですか?」

「握手もできるんですか?」

そう驚かれたのを覚えています。

私にとっては当たり前になっていたことが、他の方には驚きだったのです。

羽田に着いてからも不思議でした。

電車に乗ると、周りは旅行帰りの方ばかり。

大きなスーツケースを持った人たちがたくさんいて、深夜にもかかわらず心細さを感じませんでした。

乗り換えの駅でも同じでした。

みんながそれぞれの旅を終えて帰る途中でした。

最後は最寄り駅からタクシーで自宅へ。

無事に帰り着いた時、心からほっとしました。

今振り返ると、あの旅は不思議な旅でした。

出発前はあれほど心配していたのに、危険なことは一つもありませんでした。

偶然と言えば偶然なのかもしれません。

けれど私には、どこかで守られていたような気がするのです。

一生懸命準備をして、

祈るような気持ちで飛行機を選び、

勇気を出して一人で出かけた。

その思いを、誰かがそっと見守っていてくれた。

そんな気がしてなりません。

だから今でも、あの日曜日の午後、ソウルのカフェで飲んだコーヒーの味と、街を行き交う人々の幸せそうな姿を、ときどき懐かしく思い出します。

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