2011年。
東日本大震災が起きた年のことです。
その年も韓国でファンミーティングが開かれました。
私は迷いませんでした。
絶対に行こうと思ったのです。
サンウさんもきっと日本のことを心配している。
だからこそ、
「私たちは大丈夫ですよ」
という気持ちを届けたかったのです。
当時の私は、決して気軽に旅行へ出られる状況ではありませんでした。
それでも行こうと思いました。
朝はいつも通り会社へ出勤し、一日の仕事を終えました。
そして家には帰らず、小さなバッグひとつを持って、そのまま羽田空港へ向かったのです。
華やかな服は一着だけ。
あとはお気に入りの夏のツーピースを入れただけでした。
会場へ入ると、
私の席は一番後ろの方でした。
でも私はそれで十分だと思っていました。
その場にいられるだけで良かったのです。
ところが、
ハッピーバースデー企画で番号を呼ばれた時、
なんと私の番号が呼ばれました。
二年続けてのことでした。
本当に驚きました。
震災の年。
様々な思いを抱えて韓国へ来ていましたので、
嬉しさと同時に、
何とも言えない不思議な気持ちになりました。
翌日、
私はホテルのラウンジでゆっくり過ごしていました。
そのホテルは、
ドラマ「天国の階段」のロケ地にもなった場所でした。
窓の外には、
ドラマで見た遊園地の風景が広がっています。
私はコーヒーを飲みながら、
「あのドラマに感動したこと」
「こうしてまた韓国へ来られたこと」
そして、
「震災の年にここへ来た意味」
を考えていました。
その時です。
いつもお会いする、
とても素敵な女性の方と目が合いました。
私は思わず、
「ご一緒してもよろしいですか」
と声をかけました。
その方は、
私がずっと憧れていたような方でした。
上品で、
美しくて、
謙虚で、
そして夜ホテルで別れる時には、
「おやすみなさいませ」
とおっしゃるのです。
その言葉を聞くたびに、
私は不思議とほっとしていました。
韓国にいながら、
日本の温かさに包まれるような気持ちになったのです。
お話を伺うと、
その方は東北地方から来られていました。
震災を直接経験されていたのです。
会社を経営されていて、
震災直後はヘルメットをかぶりながら仕事を続けたそうです。
それでも、
「なんとか今年も来ることができました」
と微笑みながら話してくださいました。
そして、
「私がファンミーティングから帰ると、
話を聞きたがる方がいるんですよ」
とおっしゃいました。
その方は、
「あなたはいつも本当に嬉しそうに帰ってくるから」
と言って、
毎年話を楽しみにしてくださるそうです。
私はその話を聞いて驚きました。
ファンミーティングの喜びは、
参加した人だけのものではないのだと思ったのです。
それから何年か後のことです。
東京でのファンミーティングで、
サンウさんが企画に参加していました。
会場の中から、
ドラマの登場人物に似ている人を探すという企画でした。
最後に司会の方が、
「チェ・ジウさんに似ている方はいらっしゃいますか」
と尋ねました。
会場がどよめきました。
するとサンウさんは、
会場を見渡して、
迷うことなく一人の方を指差しました。
それは、
あの女性でした。
私は震えるような気持ちになりました。
やっぱりサンウさんは見ていてくださったのです。
その方の美しさも、
謙虚さも、
人柄も。
そして、
いつも変わらず会場に来てくださることも。
その時私は思いました。
サンウさんは、
私たちが思っている以上に、
ファン一人ひとりを見ていてくださるのだと。
そして、
だからこそ、
こんなにも長く、
多くの人が集い続けているのだと思いました。