近くのスーパーに、私のお気に入りのアップルパイがありました。
材料や保存料などにもこだわりが感じられ、安心していただけるものでした。
買ってきてすぐに食べることもありましたが、私はよく冷凍していました。
何か嬉しいことがあった日や、少し疲れた日にいただこうと思って、大切に取っておいたのです。
そして解凍してひと口いただくと、本当に体中に幸せが広がりました。
私にとって、そのアップルパイはそんな存在でした。
ところが最近、その商品が店頭から消えてしまいました。
スーパーの方針が変わり、新しいブランドの商品へと切り替わったようです。
価格は少し安くなり、量は以前の二倍ほどになっています。
品質にも気を配られているのでしょう。
私も何度か買ってみました。
けれども、何かが違うのです。
ひと口いただいた時の、あの幸せな気持ちがやってこないのです。
もちろん私は、高いものだけを選ぶわけではありません。
野菜やお肉、お魚などは、その日の値段や状態を見ながら買います。
安くて良いものに出会えれば、とても嬉しくなります。
反対に、少し高くても、本当においしいと思うものなら喜んで買います。
私にとって大切なのは値段ではなく、そのものが持つ価値だからです。
今回なくなってしまったアップルパイも、決して高価だから好きだったわけではありません。
食べるたびに幸せを運んできてくれる。
いつ買っても期待を裏切らない。
そんな信頼感がありました。
新しい商品が悪いわけではありません。
「安くて量も多くて品質も良いですよ」
そんなスーパーの努力も伝わってきます。
けれども、それでも手が伸びないのです。
数字では表せない何かが、私の好きだったアップルパイにはありました。
今でも売り場の前を通ると、ふと思い出します。
またいつか、あの時のように心から「おいしい」と思える商品に出会えるかもしれません。
その日を楽しみにしながら、私は今日も売り場をのぞいています。
そして今では、あのアップルパイも、私の好きだったものの一つになっています。