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はしごの上の優しさ

今日は、台風の影響も少し落ち着いてきたので、

必要な買い物もあり、午後は散歩を兼ねて近くのスーパーマーケットへ向かいました。

八百屋さんには、「本日は台風のため休業します」という張り紙が出ていました。

ところが、お店の前へ行くと、奥様がはしごを立て、ツバメの巣に向かっていらっしゃいました。

手にはピンセットと、ワームの缶詰。

「○○ちゃん、おいで。」

優しく小さな声で話しかけながら、一羽一羽の様子を見て、巣の中の小さな雛へ餌を運んでいらっしゃいました。

その姿を見た瞬間、私は胸がいっぱいになりました。

今日は台風で、テレビでは朝から大雨や強風のニュースばかり流れていました。

けれど、この方にとっては、台風よりも大切な命が目の前にあったのです。

本当は、その優しい後ろ姿を一枚だけ写真に残したいと思いました。

でも、あまりにも神聖な時間のように感じられ、私はそっと見守るだけにしました。

その時、近くの電線に一羽のツバメが止まっていました。

「あの子がお母さんですか。」

そう尋ねると、

「親鳥ですよ。」

と教えてくださいました。

その姿だけは、一枚写真に収めることができました。

ふと近くの巣を見ると、卵が残ったままの巣がありました。

「ここにも雛がいますか。」

私が尋ねると、奥様は少し驚いたような表情をされ、静かに教えてくださいました。

ここのママは亡くなってしまったんです。」

「卵はそのままなんですよ。」

そして少し間を置いて、

「メスは遠いところから飛んできて、卵を産んで、温めて、また次の産卵もありますから、本当に体力を使うんですよね。」

そう静かに話してくださいました。

私は思わず胸が熱くなりました。

だからこそ奥様は、命が生まれることの尊さを誰よりも知っていらっしゃるのでしょう。

お店がお休みの日でも様子を見に来られ、お掃除をし、小さな雛の成長を毎日見守っていらっしゃいます。

「この子は去年も帰ってきたのよ。」

以前そんなお話を伺ったことがあります。

私はその時、不思議だなと思っていました。

でも今日、その理由が少し分かったような気がしました。

もしかしたら、小さな頃に助けてもらったツバメたちは、大空へ巣立ったあとも、この場所を忘れずに帰ってきているのかもしれません。

本当のことはツバメに聞かなければ分かりません。

それでも私は、「ただいま」と帰ってきているような気がしてなりませんでした。

今日、私は一人の方の優しさに深く心を動かされました。

そして、台風もまた、大きな被害を残すことなく静かに過ぎ去ってくれました。

自然は時に厳しく、時に優しいものです。

その一日の中で、人の優しさもまた、静かに咲いていました。

今日という日が、たくさんの命を守り、たくさんの気づきを運んできてくれたことに、心から感謝しています。

I’m truly grateful.

富士山の見晴らし台に続く道で

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