最近、金星さんが西の山々へ沈まれる時間が、ずいぶん早くなってきました。
そしてとうとう今日は、太陽様よりも少し早く沈まれる時間になりました。
毎日のように夕方、西の空へご挨拶に行っていた私にとっては、何とも言えない寂しさがあります。
そんな今、そっと励ましてくださっているのが、月様です。
10月9日の早朝。
少し早く起きた私は、新月様を間近に控えた細い月様にお会いすることができました。

新月様が近くなると、月様にお会いできる時間はどんどん朝方へ移っていきます。
夜遅くに2階のベランダから見えることもあれば、少しすると早朝にしかお会いできなくなる。
そして、その早朝の時間さえ、ほんの少し経つだけでまた変わっていきます。
星空というものは、私たちから見ると雄大で、ゆっくり、ゆっくり動いているように感じます。
けれども実際には、
「あっ。」
と思っている間にも、空の景色はどんどん変わっていきます。
毎日の家事をしていたり、何かに追われていたり。
そんな時、ふっと手を止めて空を見上げた瞬間、思いがけず月様にお会いすることがあります。
「どうして今、この場所に?」
と一瞬思うのですが、よく考えれば、もちろんそこにはきちんと理由があります。
季節によって日没の時刻も違えば、月様の出ていらっしゃる場所も時刻も違います。
昔撮った写真を見返して、
「この時間なのに、まだこんなに明るかったんだ。」
と思うこともあります。

夏の午後5時は、まだまだ昼間のようです。
けれども秋になると、同じ午後5時でも空の表情はまるで違います。
空を見続けていると、季節そのものが時間の中に見えてくるような気がします。
そして今月、金星さんは内合へ向かっています。
宵の明星としての季節を終え、しばらくすると、今度は明けの明星として朝の空へ戻っていらっしゃいます。
その前に、できるだけご挨拶したくて、私は日没前になると西の空を見に行っています。

素人ながら、空を眺めながら思います。
夕方、太陽様が沈まれたあとも、その場所に金星さんがいらっしゃるからこそ、暗くなっていく空の中で輝く姿を見ることができる。
反対に、太陽様より先に沈まれてしまえば、夕方の空ではもうお会いできない。
そして朝は、太陽様より先に昇っていらっしゃれば、日の出前の空でお会いすることができる。
地球の自転や公転、そして天体の位置関係によって起きていることですが、私たちが地上から眺めていると、そんなふうに感じられます。
その理屈を少しずつ知ることも嬉しい。
でも同時に、実際に空を見上げて、
「今日はもう見えないんだ。」
「今朝はここにいるんだ。」
と体で感じることも、私にはとても大切です。
10月9日の早朝、久しぶりにお会いできた細い月様。
本当に嬉しかったです。
ここしばらく雨や曇りの日が多く、月様にも金星さんにも、なかなか思うようにお会いできませんでした。
ですから、その細い月様を見つけた時、心がふっと緩んだような気がしました。

月様の上には、獅子座のレグルスさん。
そして木星さんも輝いていました。
木星さんにお会いするのも久しぶりでした。
少し早起きをすれば、今の季節は木星さんやオリオン座さんなど、冬へ向かう星々にもお会いできます。
そして、新月様を越えると。
月様は今度は夕方の西の空へ戻っていらっしゃいます。
これが、私はとても嬉しいのです。
新月様へ向かって細くなり、やがて見えなくなった月様が、今度は三日月様になって夕方の空へ戻ってくる。
「これからですよ。」
とおっしゃっているように感じます。
月様は、お天気が多少悪くても存在感があります。
雲様の向こうで、傘をかぶったようにぼんやり見えることもあります。
ほかのお星様が見えない夜でも、月様にはお会いできることがあります。
それだけで、ほっとします。
そして10月13日。
新月様は10月11日でしたから、ちょうど三日月様の頃でした。
17時36分。
見晴らし台へ行きました。
その少し前まで、私はいつものように西の空を見ながら、
「今日もこんなことがありました。」
と、金星さんがいらっしゃるであろう方向に少しお話をしていました。

金星さんはもう、夕方には見えにくくなっています。
それでも、その場所にいらっしゃると思うと、ご挨拶をしたくなります。
一枚だけ写真を撮り、その場を離れました。
ところが、そのあとです。
ふと空を見ると、
同じ方向に、三日月様が現れていらっしゃいました。
Stellariumで確認してみると、本当に金星さんが沈まれていった方向と重なるような場所でした。
嬉しくて、胸がいっぱいになりました。
「月様……。」
思わずそう呼びかけたくなるほどでした。
その日は、日没の頃には雲様が多く、見晴らし台に来ていたカメラを持った方たちも、
「今日はここまでかな。」
というように、だんだん帰っていかれました。
私も一度は家へ戻り、バードバスのお水替えをしていました。
けれども、そのあと西の空が急に美しくなったのです。
オレンジ色の光が、雲様の向こうからもう一度広がり始めました。
「えっ。」
と思って、小走りで見晴らし台へ向かいました。
そこには、美しい三日月様。
そして右側には、富士山の後ろに残るオレンジ色の夕焼け。

もう夕焼けは終わったと思っていたのに、日没から時間が経ってから、もう一度空が輝き始めたのです。
三日月様のお写真を撮り、
続けて富士山側の夕空も撮りました。

忘れられない景色になりました。
そして翌日、10月14日。
今度はまだ早い時間です。
17時22分。
2階のベランダで洗濯物を取り込んでいると、南側のお宅の屋根の上に、月様がふっとお顔を出されました。

昨日は、まるでミラクルのように見晴らし台でお会いした月様。
今日はもう、こんなに早い時間に、自宅からお会いできました。
それがまた嬉しくて。
月様というのは、本当に私の暮らしの中のいろいろな時間に現れてくださいます。

金星さんを夢中で見ていた時にも、そばで静かに輝いていらっしゃいました。

春からこれまで、お天気に恵まれた時には、三日月様と金星さんの美しいツーショットを何度も見ることができました。
毎月のように、
「今月もお二人に会えた。」
と思っていました。

けれども今月は、三日月様だけです。
金星さんはいらっしゃいません。
そう思うと少し寂しくなりました。
でも月様を見ていると、
「大丈夫ですよ。」
と微笑んでくださっているような気がしました。
その言葉が、とても柔らかく心に届きました。
金星さんは、いなくなったわけではありません。
今はただ、次の場所へ向かっていらっしゃるだけ。
そして月様も、見えなくなる時があれば、また姿を変えて戻ってきてくださいます。
空を見ていると、
見えなくなることと、
いなくなることは、
同じではないのだと教えていただいているような気がします。
月様。
ありがとうございます。
私も、少しずつではありますが、元気に前へ進んでいきたいと思います。
すべてに感謝いたします。
I’m truly grateful.