3月の中頃、
宵の明星だった金星が、
夕方の空から姿を消しました。
太陽が沈んだあと、
いつものように西の空を見上げても、
あの明るい光はもう見えません。
富士山の近くへ沈んでいく姿を最後に見送ったあと、
翌日からは、どうしても見つけることができませんでした。
毎日そこにいた存在が、
ふっといなくなってしまったようで、
私は少し寂しい気持ちになりました。
けれどもその後、
「次は明けの明星として現れます」
という星空情報を耳にしました。
その頃にはもう、
私は金星のことを、
ただの“明るい星”としてではなく、
どこか日常に寄り添ってくれる存在のように感じていました。
だからこそ、
また会えるということが、とても嬉しかったのです。
夜明け前の空に現れるということで、
私は早朝3時頃に起きて準備をするようになりました。

2026年5月3日 4:43
夜明け前の西南の空
まだ暗い静かな時間。
外へ出ると、
夜の空気がひんやりと残っています。

同じ朝の空
少しずつ明るくなっていく時間
そして東の空に、
あの強い光を見つけた瞬間、
「ああ、また会えた」と思いました。
本当に嬉しかったのを覚えています。
けれども、
宵の明星の頃とは、どこか違っていました。
夕方の金星は、
毎日の暮らしの中に自然にいてくれる星でした。
買い物の帰り道。
チョコちゃんとの散歩。
夕飯の支度の前。
庭掃除をしている時間。
ふと空を見上げると、
いつもそこにいてくれました。
けれども明けの明星は違います。
こちらから追いかけるように、
早起きをして、
限られた短い時間の中で会いに行く星でした。
そして、
ようやく見つけても、
朝日が昇り始めると、
金星はまぶしい朝焼けの中へ吸い込まれるように消えていきます。
あんなに強い光を放っているのに、
太陽の光の前では、
静かに姿を隠してしまうのです。
その様子が、
なぜかとても愛おしく感じられました。
私はいつの間にか、
「前の宵の明星の頃がよかったな」
と思うようになっていました。
けれども、
それと同時に気づいたのです。
あの楽しかった時間も、
ずっと続くわけではなかったのだと。
空は少しずつ変わり、
星の見える位置も変わっていきます。

2026年5月3日 4:43
東の空
この場所で、明けの明星を見ていました
見える時間も、
高さも、
季節も。
私はただ、
その変化の中にいたのだと思います。
そして今振り返ると、
あの明けの明星の時期は、
少し立ち止まって空を見つめ直すような、
静かな時間だったような気がしています。
I’m truly grateful.