3月の中頃、
夕方の空から姿を消した金星は、
その後、明けの明星として再び現れました。
私は早朝に起きて、
夜明け前の短い時間、
東の空に輝くその光を見つめていました。
そしてその頃、
私は少しずつ、
星空そのものの流れに気づき始めていました。
夜明け前の東の空には、
秋の星座が昇ってきます。
一方で、
西の空には、
夏の大三角が沈もうとしていました。
ベガ。
アルタイル。
デネブ。
夏の星たちが、
夜明けの西空に静かに残っているのです。
最初にそのことに気づいた時、
私はとても驚きました。
夕方には、
春や冬の星座を見ていたのに、
夜明け前には、
もう秋と夏の星座が空に現れているのです。
つまり、
時間を変えて空を見上げることで、
一日の中で一年分の星座を見ることができる。
それが、
私にとっての大きな発見でした。
そしてもう一つ、
自分で観察していて気づいたことがあります。
春の星座は、
春の夜空で見るよりも、
冬の早朝に見る方が、
ずっと美しく輝いているのです。
冬の空気は澄み渡り、
雲も少なく、
夜明け前の空には、
星たちが凛とした光を放っています。
北斗七星。
アークトゥルス。
スピカ。
レグルス。
春の星たちが、
漆黒の空の中で、
まるで宝石のように輝いていました。
もし自分の生活時間を少し変えることができれば、
夜中でも早朝でも、
季節を超えた星空を見ることができる。
それもまた、
金星を追いかけたからこそ知ることができた世界でした。
そして季節は、
また巡っていきました。
オリオン座が再び空に現れた頃、
私は「ああ、もう一年が巡ったのだな」と感じました。
今年、
金星は再び宵の明星として戻ってきました。
4月の終わり頃の夕方、
西の空には細い三日月が浮かび、
その下には金星が輝いていました。

細い三日月が浮かんでいた夕方の空
さらに少し視線を移すと、
冬の星座たちと木星がまだ空に残り、
そのそばには春の大三角も見えています。
空の中で、
季節が少しずつ引き継がれていくようでした。
あの頃、
夕方になるのが本当に楽しみでした。
外へ出て、
庭掃除をしたり、
買い物へ行ったり、
チョコちゃんの散歩へ行ったりする時間。
そんな毎日の始まりに、
西の空にはいつも金星がいました。
そして、
夜の始まりとともに、
少しずつ沈んでいくその光を見ながら、
私は「では、また明日ね」と思っていたのです。
気がつけば、
金星はただの星ではなく、
私の日常の時間を静かに支えてくれる存在になっていました。
I’m truly grateful.