地球に一番近いところに咲いた、
地面すれすれの場所に咲いている赤い椿さん、ふたつ。
すぐそのそばに、この椿さんの木の赤ちゃんが、すくすく育っています。
見る限り、もう三年ぐらい育っていますが、まだ五センチくらいです。
赤ちゃんの木が言います。
「ぼくも、君たちのような立派な赤いひぐらし椿を咲かせるよ」
すると、少し大きめの赤い椿さんが、
「君ならできるよ」と言いました。
すぐそのそばに、まだ生まれたばかりの小さな赤い椿さんも、
「そうだ、そうだ」と言います。
そんなふうに、三つはただ、いっしょにいました。

そして翌朝。
生まれたばかりの小さな赤い椿さんが、天国へ行きました。
そしてお昼には、少し大きめだった赤い椿さんも、天国へ行きました。

赤ちゃんの木は、空に向かって叫びます。
「ぼく、何十年かかっても、
君たちのようなすばらしいお花を咲かせる木になるよ。
見ていてね!」
小さな小さな葉が三つか四つの、ほんとうに小さな木の赤ちゃんですが、
精いっぱい叫びました。

その声は、晴れわたった春の空に、やわらかく届いているようでした。
