蕾が付いているため、切って部屋に飾ることができなかったバラがありました。
以前、蕾のついたまま切って室内に飾った時、咲かないまま枯れてしまったことがあったからです。
その経験が心に残っていて、今回は庭でそのまま咲いていただくことにしました。
大きく開いていくバラと、少しずつ成長していく二つの蕾。
その姿を毎日眺める時間は、とても幸せでした。
強風と大雨の夜を越えた朝、大きく咲いていた最初のバラは散っていました。
残ったのは、ふくらみ始めた二つの蕾でした。
その蕾たちは、その後無事に開花し、庭にまた新しい彩りを添えてくれました。
さらに別の蕾も開き、庭には三つの花が並ぶ時間が生まれました。

朝、目が覚めるとすぐ庭へ見に行きました。
朝日に照らされた姿。
昼間のお日様の下で輝く色。
夕暮れの中で静かに微笑んでいるような姿。
この数日間は、本当に夢のような時間でした。
今までは、強風や大雨の予報が出ると、夕方には切って室内へ入れていました。
部屋の中に飾ると、空間がぱっと明るくなるからです。
けれど今回は、蕾が残っていたため、どうしても切ることができませんでした。
そして今日。
もう蕾はありません。
夕方、庭へ出ると、花びらが一枚落ちていました。
しばらくしてまた見に行くと、今度はさらに何枚か落ちていました。

このまま外に置けば、明日の朝には散ってしまう。
それもまた自然の姿なのだと思いました。
でも同時に、あと少しだけ部屋の中で光を灯していただくことも、一つの形なのかもしれないと思いました。
庭で静かに風に揺れている姿を見ていると、切ることが本当に良いのか迷いもありました。
自然のまま終わること。
家の中で最後まで見守ること。
その間で、しばらく立ち止まりました。
けれど、明日の朝にはこの姿はもうないかもしれない。
そう思い、そっと切らせていただきました。
部屋に飾ったバラは、静かに、でもとても美しく咲いています。
蕾と一緒に庭で生ききった最初のバラも、きっと喜んでいるような気がしています。
