ゴミを出しに行った、何気ない朝のことでした。
その日、私ははじめてカラスに出会いました。
手に持っていたクッキーを、なんとなくあげてみようと思ったのです。
すると、一緒にいた小さくてとても可愛らしいカラスが、すぐにそれを足で押さえて、一生懸命食べ始めました。
その仕草があまりにも愛らしくて、「本当にカラスなの?」と思ってしまうほどでした。
少し離れたところには、もう一羽。
その子よりも少し大きくて、落ち着いた雰囲気のカラスがいました。
そのカラスは、クッキーを取り合うこともせず、ただ静かに、小さなカラスの様子を見守っているようでした。
その姿が、まるで父親のように感じられて、私はとても不思議な気持ちになりました。
「どうして奪い合わないんだろう」
そんなことを思いながら見ていると、
自然と、もう一枚「あなたの分よ」と渡したくなりました。
けれど、そのとき、ご近所の方が通りかかり、
「鳥に食べ物をあげたらダメよ」と声をかけてくださいました。
私はその言葉に、クッキーを渡すのをやめました。
ほんの短い出来事でしたが、
あのとき見た光景は、今でもはっきりと心に残っています。
小さくて無邪気な仕草のカラスと、
それをやさしく見守る、大きなカラス。
あの二羽に、また会いたい。
そう思ったのは、このときがはじめてでした。